6月29日に大阪で開催されていたG20は無事閉会となった。戦士諸君にも最大関心事だった、エルドアン大統領とトランプ大統領の直接会談や、米中貿易戦争真っただ中の中国、習近平国家主席と米国、トランプ大統領の直接会談も無事終了。さてさて、その結果は如何に! そして週明けトルコリラはどっちへ向かうのか?
G20は大阪で開催!
G20って、Group of Twentyの略で、主要国首脳会議(G7っていわれている)の7か国にEUとロシア、さらに新興国の11か国で計20か国や地域で構成されているのだな。もちろんこの中にはトルコも入ってるぞ。
このG20には、ロシアのプーチン大統領も出席しておりエルドアン大統領はプーチン大統領とも会談をおこなっている。
「ロシア製のミサイル防衛システム「S400」の納入計画について「遅れはない」と明言した。S400の納入は7月に始まる予定」(ロイター通信より)という会話をしているようだ。
そして、本日6/29日本時間の午後にはトランプ大統領との会談をこなしたわけだが、結果は。。。。
大きな進展はなし。
う~ん。がっかり。
米ホワイトハウスによると、トランプ氏はトルコによるロシア製地対空ミサイルシステム「S400」の配備問題について懸念を表明した。
トルコが米国の反対にもかかわらず配備を強行した場合に制裁を課す可能性について記者団から問われると「検討している」と述べた。
米国とトルコは北大西洋条約機構(NATO)を通じた同盟関係にある。米国はトルコを通じたロシアへの機密漏洩などを懸念している。
米国が対トルコ経済制裁に踏み切れば、米国人牧師の拘束問題を原因に通貨が急落した昨夏の「トルコショック」が再燃する恐れもある(日本経済新聞より)
ということで、両国の溝は埋まらず、平行線のままだろうか、週明けから7月にはいる。S400の納入が予定通り7月に実行されるとなれば、米国による制裁が発動されるのだろうか。これはトルコ経済への大打撃ともなりかねない。
一方の米中の会議では、新たな制裁は当面発動せず。くわえてファーウェイの禁輸解除というニュースがながれてきたぞ。
ビジネス界出身のトランプ大統領がなんの手土産もなく解除するわけなく、それ相応の成果を手に入れたのだろうな。中国側も最大関心事だったファーウェイ禁輸解除を手に入れたわけで、お互いのメンツを保ったってところだろうか。
G20明けの月曜はトルコリラにとっては大きなイベントもなく迎えると思いきや、なんと、リビアから、「リビアの元国軍将校で実力者のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏は、国民合意政府(GNA)をトルコが支援していると批判した上で、自身が率いる軍事組織「リビア国民軍(LNA)」に対し、国内におけるトルコの船舶と関係者らを攻撃するよう命じた。」(AFP通信)
というニュースが飛び込んできた。
リビアってどこだ?
トルコとは地中海を挟んだ対岸側と言えばよいだろうか。まあ隣国ではないのでいきなりドンパチ始まるわけでもなさそうだが、ネガティブなニュースとして扱われると週明け月曜の早朝、トルコリラへ影響出るのだろうか?
ファーウェイ禁輸解除の電撃ニュースで日経爆上げ→ドル買い円売りに引っ張られてトルコリラもつられて上昇なんて淡い期待をしたのは浅はかだったか。
エルドアン大統領は先週のイスタンブール市長選挙でも野党に敗北し、身内からの離反者もでるのでは?とささやかれている状態。目に見えた成果もなく終了したG20、エルドアン大統領は、このあといったいどういったかじ取りをするのだろうか?
期待と不安が入り混じった中でのG20(トランプとの直接会談)も今一つパッとしない結果でおわってしまったが、トルコ経済に影響を与える各種指標をおさらいしておくぞ。
主要国通貨レート推移
まずは、主要通貨の対円推移をやや長めの日足で確認してみよう。ご覧のとおりで一人だけ、ずりっと落ちてるヤツがいるのだな。この赤い線だが、こいつがトルコリラ円だ。おいおい、一人負けじゃないか。日々の上下動で一喜一憂していたが、よくよくみるとやっぱり弱いな。
5月前後から、高金利通貨組ですらじわじわっと上昇気配がでているのに、なんでお前だけ右肩さがりなんじゃ!
下げの勢いが多少弱くなっているとはいえ、上昇転換という気配は感じられない。せっかく米国国債10年利回りが2.0%ギリギリまで落ちてきているのに、この低空飛行とは。
2018年の6月頃からのグラフなのだが、実にマイナス23.85%という状況。高金利通貨として日本人スワップトレーダにも人気の南アフリカランドでもマイナス9.22%、メキシコペソはなんとプラス4.77%という好パフォーマンスを発揮しているのだな。
いずれの通貨ペアにおいてもマイナス圏で20%を超えた通貨はトルコリラ円だけというわけだ。
米国金利と原油価格とトルコ経済
今週の米国国債10年利回りは2.007%で週末を迎えている。一瞬2.0%を切ったこともあったがその後大きく動くことなくこのレベルで休息中。
そして原油先物も50ドル手前で切り返し60へ向かう流れとなっていたが週末一旦の調整だろうか、やや頭の重い状態で週末をむかえているな。
原油も昨年の70ドル台を超えることなく、この価格帯で推移はトルコ経済にもプラスのはず、米国国債10年利回りが低空飛行となれば、米国から流れた資金の向い先に、ぜひともトルコも加わりたいぞ。
JETROのレポート(2018年のトルコ工業部門の500社 | 地域・分析レポート)では
トルコのイスタンブール工業会議所(ISO)が発表した2018年の工業部門売上高上位500社(以下ISO500社)によると、例年通り、首位は石油精製会社テュプラシュ、2位はフォード・オトサン、3位はトヨタ・トルコとなり、エネルギー、自動車、家電、鉄鋼の4分野が上位を占めている。
総売り上げはトルコリラ建てで34.5%増だが、ドル建てでは1.9%増と低く、通貨安の影響が強く見られた。 と公表されておるのだな。
やはり、為替なのだ。このトルコリラ安の状況が経済には大打撃なのが、数字にもしっかりあらわれておるのだぞ。
「輸出が内需をさせている」とまで記載あり、通貨安が製造業の生産コストを上昇させてしまい(資源を輸入に頼っているトルコにとっては自国通貨安はコスト増要因だな。)、為替差損は製品価格に転嫁されるため、物価は上昇(高インフレだもんなぁ)。
通貨の下落は、トルコ企業の外貨建て債務の返済、借り換え環境を厳しくし、結果的に企業活動全体に悪影響を与えてしまうという事らしい。(ジェトロレポートより)
このレポートは2018年が対象だが、この状況は今も変わってないのだろうな。
さて、珍しくファンダ情報満載となったが、トレーダたるトルコ戦士諸君にはチャートがあるぞ。難しい複雑なファンダを追いかけるもよいが、チャートからも読み取れることだってあるのだ。
トルコリラ円チャートを確認
まずは日足からチェックしておこう。
しっかりとした方向感のない1週間だったようだ。日々の値幅も非常に狭くかろうじて週末終値はセンターラインの上に乗っかっている状態だな。
ボリンジャーバンドの1σ,2σ,3σいずれも並行になりつつある。
一方遅行スパンは上昇するローソク足に接近するもやや頭が重く週明け以降に再び息を吹き返せば、このローソク足に沿った上昇も期待できるが週末のニュースが気になるところだ。ローソクを下に抜けることも十分考えられるな。
ここ3週間ほどは18.0円から19.0円を往来しているだけに、ここを上下どちらかに抜けると一気に動き出す可能性が高くなってきたな。(エネルギー蓄え中か!)
そして週足。
先週に引き続きローソク足終値はマイナス1σの上で週末を迎えている。勢いはないが下押しという事もない。
ただし、遅行スパンは安定のローソク足の下を推移だ。長い下髭に接触するも僅かに上昇したが来週はこの下髭ローソク足を抜けるのだな。
しばらくはローソク足との接触機会はなさそうなので、足の動いた方向に合わせて下方向に向かう可能性もあるぞ。
週足でローソク足の上に抜けるためには19円~20円の大台をクリアが必要なので、厳しかろう。
チャネルラインはワークしてるか?
さて、やや長めの日足に2本のラインを引いたチャートを最新化して掲載だ。相変わらずこの2本のラインを超える気配はなく、このレンジ内での往来が当面の流れだろうな。
まとめ
トルコ戦士にとっては、期待はずれな結果で終わったG20だったが、7月にはいりS400問題で米国が制裁発動となるようでは一気にトルコリラ売り浴びせの再来ともなりかねない。
フラッシュショックは忘れたころにやってくるぞ、ポジション管理だけは十分注意しておこう。
G20では、トランプは決して高圧的ではなく、S400選択がやむをえない事だったとまで言っているようだし、トルコ訪問の可能性も示唆しているのだ。
今後の両国関係の好転とトルコリラの反転上昇に期待しながら週明け朝を迎えよう。